ChatGPT流行によるGAFAMの対話型AIの2023年開発対応まとめ
ChatGPTの登場によって、GAFAM(Google Apple Facebook(現Meta) Amazon Microsoft)でもチャットAIの開発が進んでいます。
OpenAIに投資し、検索エンジンBingにGPT-4を導入したマイクロソフトが一歩進んだ印象ですが、GoogleやAmazon、Metaも注力しています。
そこで、ビックテックの世界的IT企業の対話型AIの対応状況をまとめてみました。
GAFAMのビックテックも対話型AIを重点に
2023年はChatGPTが登場したことで生成系AI(Generative AI)が過去最高の盛り上がりを見せています。
ChatGPT関連のネットニュースは毎日のように配信され、テレビや新聞などでも取り上げられる機会が増えています。
そうしたChatGPTへの注目から、世界トップのIT企業であるGAFAMも対話型AIへの対応を進めています。
- G:Google
- A:Apple
- F:Facebook(現Meta)
- A:Amazon
- M:Microsoft
それぞれのビックテックでどういった対話型AIの開発を行っているか調査してみました。
ChatGPT擁すOpenAIと連携したマイクロソフト
対話型AIの開発において一歩抜きん出ているのが、GAFAMの5番目のマイクロソフトです。
マイクロソフトはChatGPTを開発したOpenAIに巨額投資しているため、OpenAIが開発したChatGPTやGPT3の技術を連携しています。
そうしたOpenAIとの連携を武器にマイクロソフトはすでに各種サービスにChatGPTで培った自然言語処理のAIを導入しています。
最も注目を集めているのがマイクロソフトの検索エンジンBingへのGPT-4のAIチャット搭載です。
あまりの注目の高さに多くのユーザーが次世代Bingのウェイトリストに登録を行いました。
ウェイトリストからの招待を早める条件にスマホのBingアプリのインストールを設けたところ、それまでダウンロード数100位以下だったのが3位まで浮上したほどです。
次世代Bingプレビュー版の先行ユーザーがGPT-4のAIチャットに色々試した結果、回数制限する形にもなっています。
そのほかにもTeamsやOutlook、Word、Power PointなどのMicrosoft365サービスにChatGPTの技術を応用したGPT-3.5系のAIを搭載していく予定です。
GAFAMの中ではマイクロソフトがOpenAIに投資していたことで、対話型AIの取り組みは一歩リードしています。
ChatGPTを受けBardを開発したGoogle
ChatGPTに大きな危機感を抱いているのが、世界一の検索エンジンを持つGoogleです。
ChatGPTとのチャットで知りたいことを質問して応答が返ってくれば、検索という行為自体が減少するからです。
Googleは検索エンジンで独走している強みを生かしたサービスを展開し、検索連動型広告などが大きな収益源になっています。
競合の検索エンジンBingがGPT-4の対話AIを取り入れるなど、自社の強みが失われかねない状態です。
そうした状況を受け、Googleは同じく対話型AI「Bard」を発表しました。
Bardは意識を持ったAIとも評された大規模言語モデルLaMDAを利用しており、さらに学習データも2023年1月の最新のものです。
元々BERTなどの言語処理モデルを開発し、AI技術に強みがあるGoogleなので、ChatGPTよりも高性能との期待が高まりました。
しかし、Bardに天文学についてのデモ応答に誤りが含まれていたというニュースが報じられ、Googleの株価が急落する事態が起きました。
2023年2月6日にBardについてのブログでは数週間後に一般公開する予定でしたが、上記の事象があったため、まだ一般公開されていない状態です。
競合のBingにシェアを奪われないようにするためにも、Bardのさらなる開発を急ピッチで進めることが予想されます。
研究者向け大規模言語モデルLLaMA公開のMeta
FacebookやInstagram、WhatsAppを提供し、今はメタバースに注力しているMetaは、現時点で一般ユーザー向けにChatGPTのような対話AIは提供していません。
ただ、研究者向けの大規模言語モデル「LLaMA」を2023年2月24日に提供開始しました。
Meta AIのページでLLaMAについての解説があります(英語)。
Introducing LLaMA: A foundational, 65-billion-parameter large language model(Meta AI)
上記の英語ページの下部にはLLaMAの利用申請リンクがあり、研究者はGoogleフォームに必要情報を入力して申請可能です。
Metaはかつて2022年8月に独自チャットボットの「BlenderBot 3」を公開したことがありました。
しかし、「BlenderBot 3」は差別的な発言をしてしまうなど問題点を指摘されました。
さらに、2022年11月には研究者向けの独自LLM「Galactica」を公開するものの、多くの研究者から誤りを指摘され、非公開になりました。
そうした点から、Metaは色々と投稿する一般ユーザー向けではなく、研究者向けにのみ公開する方針のようです。
HuggingFaceと提携したAmazon
世界一のECサイトを運営するAmazonは、Hugging Faceとの連携を強めると2023年2月21日に発表しました。
Hugging FaceはオープンソースのAIモデルや学習用のトレーニングデータを技術資産として保存・公開できるサービスを提供している会社です。
元々Amazonは2021年からHugging Faceとは提携しています。
Amazonのクラウドサービス「AWS」において、機械学習プラットフォームAmazon SageMakerでHugging Faceの各種AIモデルやデータにアクセスできました。
これまで以上にAmazonはHugging Faceとのパートナーシップを拡大すると報じられています。
ただ、AmazonのAI対応は主に開発者を対象にしており、AWS上での利用促進につなげるのが目的です。
AmazonのECサイト上で対話型AIが登場するかもしれませんが、一般ユーザー向けのAIチャットが公開される可能性は低いと見込まれます。
特に対話AIの開発を発表していないApple
GAFAMではAppleが唯一、特にChatGPTのような対話AIに関する開発情報を発表していません。
ただ、AppleにはiPhoneに搭載されている音声アシスタントAI・Siriがあります。
Siriには色々な音声入力情報が蓄積されており、応答テキストデータを保持しています。
直近の他のGAFAMの動きを受け、Appleについても引き続きAI技術の研究開発は進めていくと考えられます。
Appleから今後、対話AI周りでのサービス発表があるか期待が高まるところです。
GAFAMの対話型AIの競争は今後も激化
ここまで紹介してきたように、GAFAMの5社のうち、Appleを除いた4社が対話型AIに関する取り組みを行っています。
それゆえにGAFAMでの対話型AIの競争は2023年激化していくと考えられます。
現時点ではChatGPTを開発したOpenAIに投資して技術連携したマイクロソフトが一歩リードしています。
しかし、GoogleやMeta、Amazonもこのまま技術的な優位を見過ごすとは思えません。
- 検索エンジンなどAI技術に優れたGoogleの対話AI・Bard
- 研究者向け対話AIがとても好評なMeta(旧Facebook)の
- OpenAIの競合であるHugingFaceと業務提携したAmazon
優れたエンジニアを抱えるGAFAMはChatGPTに負けない対話型AIを開発すると予想されます。
まとめ・終わりに
今回、Google・Apple・Facebook(現Meta)・Amazon・MicrosoftのGAFAMにおける対話型AIの開発状況を紹介しました。
世界有数のビッグテック企業であるGAFAMでは、ChatGPTの流行を受けて、対話型AIの開発を促進しています。
中でもマイクロソフトはOpenAIに投資していたこともあり、ChatGPTの技術を活用して検索エンジンのBingやMicrosoft365サービスにGPTのAIサービスを展開しています。
ChatGPTが広まると大きな影響を受けるとみられるGoogleもBardを発表し、一般ユーザー公開を目指しています。
Facebookは現時点では研究者向けのAI、AmazonはHugging Faceと提携しAWS上のAIサービスの開発を進めています。
iPhoneのSiriがおなじみのAppleは唯一、2023年になっても特に対話型AIへの取り組みについて大きく報じられていません。
ただ、今後もGAFAMの間ではChatGPTに負けない対話型AIの開発が進められると推測されます。
こうしたGAFAMがしのぎを削ることでより性能が高い優れたAIが登場することが期待されます。
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