無料RPA「sikuli」とは?業務自動化・働き方改革へ3つの導入メリットとデメリット

2019年11月1日

働き方改革がトレンドになったことで、単純な作業を代替するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)ツールに注目が集まっています。

今回は、RPAツールの中でも完全無料で利用することができる「sikuli」を利用する3つのメリットと、他のRPAと比較したデメリットを紹介します。

sikuliとは?

sikuliはアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)が開発したRPAツールです。

MITライセンスのため完全無料で利用することができます。

現在はMITによるsikuli開発プロジェクトは終了しましたが、RaiManという人がプロジェクトを引き継ぎ、sikulixとして今も開発が行われています。

※sikuliとsikulixの違いを解説した記事はこちら↓

sikuliとsikulixの違いは何?

PythonやRubyベースのコードを書くことで、WindowsやMacなどの端末を自動操作します。

sikuliの読み方は?どう呼んでいる

sikuliは英語の単語としてあるものではなく、RPAの自動化ツールの名前として新たに作られたワードです。

そのため、英和辞書にはsikuliの読み・呼び方はありません。

日本人のエンジニアやsikuliについて紹介している書籍では、sikuliを「シクリ」と呼んでいます。

また、現在sikuliを引き継いで継続開発されているsikulixの場合、「シクリエックス」と読まれるケースが多いです。

※海外エンジニアがアップしているsikulixを解説しているYoutube動画でも同様に発音しています。

sikuliメリット①:完全無料なMITライセンスでRPAを商用利用可

sikuliの最大のメリットは、完全無料でRPAを利用できることです

sikulixはMITライセンス

先程も紹介したとおり、sikuliはMITライセンスのため、自由にソフトウエアを利用することができます。

そのため、企業や団体で利用する商用利用であっても無料でsikuliの利用が可能です。

RPA導入時の最大の障壁はコスト

RPAツール導入に際しての最大の障壁になるのが、導入した際に必要なコストです。

Sikuliは完全無料で利用可能なRPAのため、月額利用料や年会費は不要

RPAツール導入には、初期費用と月額費用がかかるタイプのものが大半です。有名なRPAツールの場合、初期費用と利用料が年間にすると、100万円を超えるものも多いです。

そうすると、試しに検証(PoC)というわけにはいかなくなります。

中にはPoCの間は無料のものもありますが、検証期間が1ヵ月程度になっています。1ヵ月ではRPA導入よる効果検証まで評価できない場合もあります。

商用利用でどれだけ使っても無料

それに対して、sikuliはMITライセンスのオープンソースのため、導入費用というものはありません。

どれだけの端末にsikuliを導入しようと、どのような使い方をしても、それに伴うライセンス費用や利用料は一切必要ありません。

有名な商用RPAツールの1つ「UiPath」には、エッセンシャル版として無料で利用できるプランもありますが、大幅な機能制限があります。

無料ですべての機能を利用できるRPAツールはsikuliだけです

sikuliメリット②:Windows,Mac,Linuxに対応

2つ目のメリットとして、sikuliはマルチOSに対応しています。

  • Windows(7,8,10)
  • Mac
  • Linux

とメジャーなOSにはすべて対応しています。

事務用PCのWindows端末以外にもMac端末でも自動化を行うことができます。

実はRPAツールは事務作業を想定しているものが多いため、Windowsしか対応していないRPAツールも多いです。

sikulixのサポートOSをまとめた記事はこちら↓

sikulixのサポートOSまとめ~Windows、Mac、Linuxの対応バージョン

sikuliメリット③:どんなアプリケーションも自動操作可能

sikuliは画面操作系のRPAツールのため、基本的にWindowsやMacで動くどんなアプリケーションでも自動操作することができます。

さらに、OS内にある複数のアプリケーションを跨いだ操作も可能です。

  1. Webの管理画面で取得したデータをエクセルに入力
  2. データ集計・整形
  3. レポートを印刷

といった複数のアプリケーションを使った業務の自動化もsikuliで実現可能です。

RPAによって午前中の会議で使用するレポートを自動的に作成

「上記の自動化プログラムを早朝に実行し、朝会社に出社すると、レポ―トが印刷されている」

といった使い方で朝からデータ集計作業から解放されます。

sikuliのデメリット:プログラミングが必要

sikuliのデメリットについても紹介しておきます。

sikuliをRPAとして活用するうえで問題となるのは、プログラミングでコードを書く必要がある点です。

RPAツール系は操作ブロックや処理ブロックなどを組み合わせグラフィカルに自動化の処理を作成します。

それに対し、sikuliはpythonまたはrubyに近いプログラミング言語でコードで自動化処理を記述します。

プログラミングをまったく経験ない人にとっては、障壁が高いと感じると思います。

ただ、sikuliで使っているpythonは言語的に簡単です。またRPAとして使う場合、必要となるコマンドは20個程度です。

あとはコマンドごとに対象となるアプリケーションやクリックするアイコンやボタンを変更するだけで自動化ができます。

また、sikuliはオープンソースのため、ネット上にも具体的な事例のソースやナレッジが公開されています。

一方、商用RPAツールの自動化処理は企業内の業務で使われています。

基本的に社外秘のデータで、具体的な事例やナレッジの共有はほとんどない状態です。

そのため、プログラミングは必要ですが、慣れればRPAツールと同様に使いこなすことが可能です。

 

まとめ・終わりに

今回、RPAツールのsikuliの3つのメリットについて紹介しました。

  1. sikuliは唯一RPAツールで全機能を完全無料で利用可能
  2. Windows、Mac、LinuxとメジャーなOSに対応
  3. ほぼ全てのアプリケーションで自動化処理が可能

sikuliはプログラミングで自動化処理のコードを記述する必要がありますが、覚えるコマンド数も少ないため、取り組みやすいです。

RPAに取り組みたいけど、費用がかかるのがネックという方にsikuliはオススメです。ぜひ、RPAの効果検証(PoC)で使ってみて下さい。