2022年4月発生のGAリアルタイムレポート障害はグーグルが解決断念!GA4にリソース集中?
2022年4月6日ごろより、現行Google Analytics(ユニバーサルアナリティクス)のリアルタイムレポートのアクセス数が0や1などおかしい数値になる障害が発生していました。
グーグル社は多くの利用者からアピールを受けてリアルタイムレポートの不具合を調査・対応を行っていましたが、完全な障害解消に至らず、解決することを断念しました。
2022年4月6日より全世界でGAリアルタイムレポートがおかしくなる障害
アクセス解析ツールのGoogle Analyticsには新しいバージョンのGA4と、従来版のユニバーサルアナリティクスの2種類が用意されています。
現在、ブログやWebメディアで多く利用されているのは後者のユニバーサルアナリティクス(UA)です。
ただ、現行のユニバーサルアナリティクスは2023年6月でサポート終了するとグーグル社が発表しており、新しいバージョンのGA4への移行するよう呼びかけています。
そんな中、従来版グーグルアナリティクスのUAのリアルタイムレポートで、2022年4月6日より数値がおかしいとのアピールが相次いでいます。
リアルタイムレポートでは、過去5分間のサイトに訪問したアクティブユーザーを表示しますが、もっと多い人数が訪れているのに、0や1といった数値が表示されるようになりました。
個別記事へのアクセス数やデバイス別情報から、アクティブなユーザーが0であるはずがないのに、リアルタイムな訪問数が0となる不具合です。
特に海外のユーザーからはリアルタイムレポートの数値がおかしいというTwitterの投稿が多かったです。
日本ユーザーからのアピールは当初少なかったものの、2,3日ほど遅れてポツポツ投稿されていました。
改善という情報もリアルタイム数がバグる事象が断続発生
グーグルアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)を管理するGoogle社は、多数のユーザーからアピールを受け、障害対応に乗り出しました。
4月6日に発生して1週間ほど経過したあと、リアルタイムレポートの数値不具合が復旧したという情報も出回りました。
しかし、その後も「リアルタイムレポートのアクティブユーザー数がおかしな数値のまま」という声が多く挙がっています。
私が管理しているサイトでも、このAutoWorkerのブログは正しい数値に戻ったものの、別ブログはおかしいままでした。
ただ、AutoWorkerブログのリアルタイムレポートも数値がおかしくなることが起きています。
どうやらユニバーサルアナリティクスのプロパティ(ビュー)によって、バグが出やすいプロパティとバグが出にくいプロパティが生じているようです。
2019年よりGoogle Analyticsリアルタイムレポート不具合が発生
Google Analytics(ユニバーサルアナリティクス)でのリアルタイムレポートの不具合は、2022年が初めてではなく、2019年ごろから発生していました。
リアルタイムレポートのアクティブなユーザー数が実際よりも急増する事象が時々発生していました。
2022年4月の事象では実際のユーザー数よりも少なくなり、1や0といった数値になることが多くなっています。
ユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの数値がおかしいかどうか見分ける方法は以下の記事で紹介しています。
ユニバーサルアナリティクス(UA)のリアルタイムレポートの障害解消を断念
なお、Googleはユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの障害について調査したものの、完全復旧させることは断念しています。
GoogleのIssue Tracker(課題管理システム)にリアルタイムレポートの数値不具合のチケットが起票されています。
Real-Time API data is very inaccurate / not working at all(Issue Traker)※英語サイト
このチケットに対して、あるユーザーがグーグルからの調査結果の回答を怒りをあらわにしながらコメントしています。
Googleからの回答と書かれている部分は日本語に訳すと以下のような内容です。
ご指摘の通り、クラシックアナリティクスのプロパティでリアルタイムのレポートに問題が発生しておりました。弊社の製品・エンジニアリングチームはこの問題の根本的な原因を見つけるために広範囲に渡って調査しましたが、レポートにいくつかの改良を加えた後、この問題を完全に取り除くことはできませんでした。
この問題は一時的なものであり、「Google Analytics 4」(GA4)プロパティにはこの問題に悩まされない改良されたリアルタイムレポートがあることを知っているため、この問題の解決はもう求めません。UAのリアルタイムレポートで正確な数値を確認するには、数分待つことをお勧めします。または、既存のユニバーサルアナリティクスプロパティと一緒にGA4プロパティを実装して、次世代のリアルタイムレポート(ヘルプセンター:https://support.google.com/analytics/answer/9744165?hl=en&ref_topic=9143232)をご利用いただくことをご検討ください。
我々は、これは非常に多くの月間の待機後に聞いてイライラするかもしれないことを理解しますが、我々はこの結論に来る前に、すべてのオプションを使い果たしたことを知っておいてください。残念ながら、リアルタイム・インフレーション/デフレーションのトラブルシューティングをお手伝いすることはできません。
太字のところにあるように
- この問題の解決は求めない
- オプションは使い果たした
- リアルタイムのトラブルシューティングは手伝えない
と、Googleはリアルタイムレポートの問題を解決することを断念しています。
回避策としてGA4のリアルタイムレポート切り替えを推奨
グーグル社はユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの不具合への回避策として、GA4のリアルタイムレポートに切り替えを推奨しています。
ユニバーサル アナリティクス プロパティのリアルタイム レポートを最初に開いた際は、リアルタイムのデータがあまり表示されていないことがあります。正確な数値が表示されるまで数分待ってもよいですが、最も正確なリアルタイム データを取得するには、Google アナリティクス 4 プロパティのリアルタイム レポートを使用することをおすすめします。
ユニバーサルアナリティクスとGA4ではアクセス解析の仕組みが大きく異なっています。
GA4はFirebaseを利用したアクセス解析を行うため、ユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートで起きている不具合が発生していません。
そのため、GA4のリアルタイムレポートを閲覧すれば、おかしい数値が表示されることなく、アクティブユーザー数を把握することができます。
GA4とユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの違い
ただし、GA4のリアルタイムレポートの数字をこれまでのユニバーサルアナリティクスは同様ではないため、注意が必要です。
GA4とユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの最も大きな時間はアクティブユーザーを集計する時間です。
ユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの集計時間は5分だったのに、GA4のリアルタイムレポートは集計時間が30分に伸びています。
単純にGA4とユニバーサルアナリティクスでリアルタイムレポートの数値が6倍近い差が出ると考えられます。
さらに、GA4のアクセス解析対象として、AMPページは未対応です。
そのため、AMPページがあるブログやWebサイトでは、AMPページのアクティブユーザー数はカウントされません。
スマホで検索流入のユーザーが多く、AMPページの表示割合が高いブログなどだと、リアルタイムレポートの数値が正確でなくなる恐れがあります。
GA4のリアルタイムレポートの集計時間とAMP対応かどうかを考慮した上で、GA4のリアルタイムレポートのチェックが必要です。
終了予定のUAよりもGA4へのリソース集中
Googleが提供サービスの1つであるユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートの障害解決を断念したのは、外資企業としては当然と言えます。
Google Analyticsの現行バージョンであるユニバーサルアナリティクスは2023年6月にサービス終了を発表したアクセス解析サービスです。
日本企業よりも利益を求める意識が強い外資企業はドラスティックな対応を取ります。
コスト管理が厳しい外資企業であるグーグルがそうしたサポート終了が発表されたサービスにエンジニアリソースを割くはずがありません。
それよりも移行サービスとして現在も開発しているGA4にリソースを集中させるのは、自然な流れです。
リアルタイムレポートを理解するエンジニアがいない?
現行のGoogle Analytics(ユニバーサルアナリティクス)のリアルタイムレポートの不具合は、2022年4月上旬に全世界で発生して話題になりました。
しかし、前述した通り、ユニバーサルアナリティクスのリアルタイムのアクセス数のバグは2年以上前の2019年より発生していました。
そのため、Googleは2年以上に渡って、リアルタイムレポートのアクセス数がおかしくなる事象に対応してきました。
それだけの期間をかけても、グーグル社はユニバーサルアナリティクスの障害復旧させることができませんでした。
このことから「グーグル社にユニバーサルアナリティクスのリアルタイムレポートを理解しているエンジニアがいない」という説が濃厚です。
リアルタイムレポートは2011年にベータ版が発表され、2012年に正式な機能としてリリースされています。
リリースから10年経過したこともあり、リアルタイムレポートの開発に携わったエンジニアがいなくなり、メンテナンスできなくなった可能性が高いと推測しています。
まとめ・終わりに
今回、Google Analyticsの現行バージョン「ユニバーサルアナリティクス(UA)」のリアルタイムレポートが2022年4月より不具合が発生していた件で、グーグルは障害復旧を断念したことを紹介しました。
元々2019年ごろよりUAのリアルタイムユーザーの数値が急増・急減する事象は起きていましたが、2022年4月に全世界で発生し、利用者が影響を受けていました。
復旧したという情報もあったものの、Googleから「完全な解決はできない」という連絡もあり、障害復旧は断念されています。
おそらくUAは2023年6月いっぱいでサポート終了するため、次のバージョンであるGA4にリソースを集中すると見られます。
UAのプロパティによってはリアルタイムのアクティブユーザー数のバグが起きにくいものもありますが、頻繁に起こるプロパティもあるので、その場合はGoogleが推奨しているGA4のリアルタイムレポートへの切り替えを検討しましょう。
ただし、GA4のリアルタイムレポートは集計期間や条件がUAとは異なるので注意が必要です。
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