GASのクラシックエディタ(旧IDE)が2022年9月で完全に廃止!エディタ切り替えが不可能に

2022年6月28日

Google Apps Script(GAS)では、現行スクリプトエディタ(IDE)に加えて、以前のクラシックエディタに戻して利用することができていました。

しかし、GASのクラシックエディタを2022年9月までに完全に廃止するという情報が発表されました。

2020年にスクリプトエディタがバージョンアップ

Google Apps Script(GAS)のスクリプトエディタは、かつて2020年12月にバージョンアップが行われました。

大きく見た目の部分がアップデートされ、モダンなエディタにアップデートされています。

もともとのエディタはメニューバーがあったり、トリガー設定は別タブを開く必要があったり、ログ出力はダイアログ表示でした。

それが現行スクリプトエディタになって、トリガー設定はタブが切り替わらずに設定でき、ログ出力もコード下部に表示できるようになりました。

クラシックエディタとして旧IDEも利用できる状態

ただ、Google Apps Script(GAS)スクリプトエディタがバージョンアップしても、従来のスクリプトエディタも利用可能な状態でした。

Google Apps Script(GAS)の旧スクリプトエディタ(クラシックエディタ)は現行IDEから変更が可能

現行のGASスクリプトエディタをエディタを開くと、「クラシックエディタを使用する」という文言があります。

こちらをクリックすると、バージョンアップ前のスクリプトエディタに表示を切り替えることができるようになっています。

スクリプトプロパティ設定で旧IDEに戻すユーザーも

新しいGoogle Apps Script(GAS)のスクリプトエディタにアップデートされてからも、クラシックエディタに戻すユーザーは多く存在していました。

なぜならば、現行スクリプトエディタでは、スクリプトプロパティがGUIから設定できなかったからです。

スクリプトプロパティはAPIキーやトークンを保管する領域として利用されており、GASユーザーの多くが利用している機能でした。

けれども、GASスクリプトエディタのバージョンアップでは、GUIでのスクリプトプロパティが設定できず、コードでスクリプトプロパティを設定する方法しか手段がありませんでした。

コードでスクリプトプロパティの設定し、あとでコードを削除するという対応はユーザーには負担が大きかったです。

それゆえに、多くのGASユーザーは現行スクリプトエディタからクラシックエディタに切り替えて、スクリプトプロパティを設定していました。

Google Apps Script(GAS)のスクリプトエディタを現行IDEからクラシックエディタに戻す際に聞かれるアンケートは主にスクリプトプロパティのリクエストが送信された

クラシックエディタにGASのIDEを切り替える場合には、理由をGoogleフォームで聞かれますが、改修されることを願い「Missing script property editing」を選ぶ人が続出しました。

しかし、その結果、現行のスクリプトエディタにもスクリプトプロパティをGUI設定できる機能が2022年4月に実装されました。

2022年4月13日からついにGoogle Apps Scriptのスクリプトエディタ(IDE)のプロジェクト設定ページからスクリプトプロパティのGUI操作での設定が可能に。追加・編集・削除も簡単

GASプロジェクトの設定ページからスクリプトプロパティがGUIで設定できるようになっています。

※GASの現行スクリプトエディタでのスクリプトプロパティ設定については以下の記事で解説しています。

2022年9月にクラシックエディタ(旧IDE)を完全廃止

スクリプトプロパティのGUI設定がGoogle Apps Script(GAS)スクリプトエディタに実装されたことを受け、クラシックエディタに戻すユーザーが減少しました。

利用頻度の高かったスクリプトプロパティが現行IDEで利用できるようになってわざわざクラシックエディタに切り替える必要がなくなったからです。

そうしたユーザーの動きを受けてか、とうとうGoogleはクラシックエディタを2022年9月に廃止することを発表しました。

Google Apps Scriptのクラシックエディタ(旧IDE)に切り替えて表示すると、上部に「このバージョンのApps Scriptエディタは、2022年9月までに完全に廃止されます。」と表示されています。

Google Apps Script(GAS)の旧IDE(クラシックエディタ)が2022年9月に完全廃止のアラートが表示

完全に廃止ということで、現行スクリプトエディタからクラシックエディタへの切り替えが2022年9月以降は不可能になります。

クラシックエディタでしか使えない変更履歴は使用不可に

クラシックエディタは廃止されますが、前述した通り、クラシックエディタでしかできなかったスクリプトプロパティのGUI設定は現行エディタでも可能です。

それゆえにクラシックエディタが廃止される影響というのはそれほど大きくはありません。

ただ、クラシックエディタしか使えない機能もいくつかあり、その中で便利だったのが、「変更履歴と復元機能」です。

メニューバー「ファイル>変更履歴を表示」を選ぶと、直近のGoogle Apps Scriptのコードの変更履歴が表示され、以前のバージョンに戻すことができます。

Google Apps Script(GAS)のクラシックエディタで利用できる変更履歴からの戻し機能

この機能はGASコード修正を加えているうちに、エラーが起こっておかしくなったときに便利でした。

正常に実行できていたバージョンを選択して「復元」ボタンをクリックすると、コードを戻すことができます。

ただ、クラシックエディタが完全廃止されることで、変更履歴と復元が使えなくなります。

そのため、変更履歴と復元機能を使いたい場合は、Githubなどのバージョン管理サービスを導入する必要があります。

GASでChrome拡張を使ったGithub管理方法は以下で解説しています。

まとめ・終わりに

今回、Google Apps Script(GAS)の旧スクリプトエディタ(クラシックエディタ)が2022年9月で完全廃止されることを紹介しました。

GASのスクリプトエディタでクラシックエディタに切り替えたところ、クラシックエディタが廃止されるバナーメッセージが表示されていました。

ただ、もともとはスクリプトプロパティを設定するためにクラシックエディタを利用しているユーザーが多かったですが、2022年4月にスクリプトプロパティが現行のIDEでも実行できるようになりました。

その結果、GASのクラシックエディタに切り替えるユーザーが少なくなったため、完全廃止に踏み切ったと推測されます。

ただ、クラシックエディタには現行エディタにはない、変更履歴と復元やバージョン管理機能などがありました。

こうした現行スクリプトエディタで廃止された機能を今もクラシックエディタで利用していたユーザーは9月の廃止までにGithubなどに切り替えを行いましょう。