Googleモバイル検索結果のサイト名表示でサブディレクトリ寄生サイトの信頼性が高まる皮肉な結果に

2022年10月19日

2022年10月中旬からGoogleのモバイル検索結果に、タイトル情報や概要(ディスクリプション)に加えて、サイト名が表示されるようになりました。

元々テスト運用で一部スマホで表示されていた機能が正式リリースされた形です。

しかしサイト名表示によって、Googleが嫌うべきブラックハットSEOであるサブディレクトリ寄生サイトの信頼性が高まるという皮肉な結果を招いています。

Googleモバイル検索でサイト名表示が正式リリース

Googleモバイル検索結果にサイト名も表示させる機能が2022年10月14日にリリースされました。

iPhoneやAndroidでGoogle検索すると、検索結果の各要素のアイコンの右側にサイト名が表示されるようになっています。

元々、Googleの検索結果にはタイトル情報と概要(ディスクリプション)の2つがメインとなっており、その他構造化マークアップデータが一部表示されていました。

そこに、タイトル+ディスクリプションに加えてサイト名も表示させるテストが、2022年9月に一部のモバイル端末で検証されていましたが、正式に実装されました。

なお、現時点での対象言語としては英語、フランス語、日本語、ドイツ語の4種類のみで、スペイン語や韓国語等では対応していません。

対象デバイスはモバイルのみで、パソコンでのGoogle検索結果では表示されません。

※Chromeの検証モード(F12キー)でスマホ互換表示にすると、パソコンでも確認可能

グーグルがサイト名を検索結果に表示する目的

グーグルがモバイル検索において、サイト名を表示するようにした目的は、サイト名を簡単に識別できるようにするためです。

かつてはタイトル部分の末尾にサイト名が入ることで、検索結果でどのサイトか認識できていました。

またはパソコンの場合はドメイン名が見えるので、ドメインで覚えることができました。

しかし、モバイル検索の場合、ユーザーがドメインに意識を向ける機会が少ないです。

それゆえサイト名を表示することで、ユーザーがサイトを識別できるので、検索結果から選択する基準となります。

例えば、検索結果が3つあった場合に、何度も訪問していて気に入っているサイトが表示されれば、3番目でも選択することは多いです。

また、見づらいサイトや好みでないサイトの場合は、サイト名で判断することで、検索結果上位でも避けることができます。

このようにドメインへの意識が薄いモバイル検索結果では、サイト名を表示することでユーザーがサイトを識別して、検索結果の選択に効果があります。

サブディレクトリはサイト名表示されず、本体ドメインの名前表示

ただ、Googleモバイル検索結果のサイト名表示は、少し気になる仕様があります。

サブドメインやサブディレクトリで運営しているサイトの場合、そのサイトの名前は表示されない点です。

※サブドメインとはhttps://xxxxxx.abc.com形式のドメイン、サブディレクトリはhttps://abc.com/xxxxxx形式のドメイン

サブドメインで運営しているサイトの場合、サイト名表示のところにサブドメインがそのまま表示されます。

サブドメイン運営のニュースサイト「ねとらぼ」についてモバイル検索した結果、下記のように「nlab.itmedia.co.jp」と表示されています。

一方、サブディレクトリはあくまで本体ドメインの一部として認識されるため、本体ドメイン名がサイト名としてモバイル検索結果に表示されます。

サブディレクトリ運営サイトで本体ドメインのサイト名が表示されるようになった点は、SEO界隈で問題視されていた点と相まって、マイナスの影響をもたらしています。

ドメイン貸しによるサブディレクトリ寄生問題

近年SEO界隈で注意喚起が行われることが多くなっているのが、ドメイン貸しによるサブディレクトリ寄生問題です。

これは日本におけるSEOの第一人者ともいえる辻正浩さんが、2022年1月に記事を公開して警鐘を鳴らしています。

寄生サイトの恐怖 サイト貸しの営業に注意

ドメインパワーが強い大手サイトまたは、YMYL関係で優遇表示される病院やクリニックのサイトを借りて、第三者がそのサブディレクトリ上でサイトを運営する手法です。

病院やクリニックにまったく関係ない第三者が、サブディレクトリ上で医療関連のアフィリエイト誘導の記事を量産し、検索結果上位を狙います。

YMYL(Your Money Your Life)分野においてはGoogleがドメインによる評価優遇をしており、通常のドメインで検索で上位表示するのは非常に困難です。

そこで、Googleからドメイン優遇を受けている病院やクリニックにドメイン貸ししてもらい、サブディレクトリで医療情報を扱うサイトを運営することで、病院コンテンツとGoogleに誤解させるSEOテクニックです。

この手法は現時点で「検索上位が取りづらいYMYLジャンルでで検索上位表示する」に有効なSEO手法となっています。

しかし、まったく関係のない第三者が本体ドメインのサブディレクトリで、アフィリエイトサイトを運営するのはどう考えてもブラックハットSEO(悪いSEO)なので真似するのは危険です。

サブディレクトリ寄生サイトだと寄生元サイト名が検索表示

そんなブラックハットSEOなサブディレクトリ寄生サイトに、Googleモバイル検索結果のサイト名表示は追い風となるプラスに作用してしまっています。

直近話題の「エラボトックス おすすめ」でモバイル検索すると、下のスクショのような結果が表示されます。

これら2つのサイトは検索結果上は、病院のサイトが用意したコンテンツのように見えます。

しかし、いずれも病院とはなんら関係ないアフィリエイトへ誘導するサイトが表示されています。

Googleの今回の機能リリースで、サブディレクトリ寄生サイトが検索結果に表示されると、本体ドメインのサイト名が表示されて誤解を招く事態が発生しています。

皮肉にもサブディレクトリ寄生サイトの信頼性を高める羽目に

YMYLジャンルでもたびたび問題が取り沙汰される医療関連で、Googleモバイル検索結果を調査してみました。

皮肉にもユーザーに有益なコンテンツを届ける目的であるGoogle検索が汚染され、かえってサブディレクトリ寄生サイトの信頼性を高める結果になっていました。

「医療脱毛 おすすめ」のモバイル検索結果※広告部分除く

クリニック、皮膚科と書かれていますが、アクセスするとまったく関係ないサイトです。

「医療脱毛 おすすめ」のモバイル検索結果※広告部分除く

同じクリニックが表示されていますが、いずれもやっぱりアクセスすると病院・クリニックと関係ないアフィリエイトサイトです。

この検索結果に病院・クリニック名が表示されているので、ユーザーは安心してタップして訪問してしまうおそれがあります。

ブラックハットSEOで本来ペナルティを受けるはずが、なぜか好影響を受けてしまっている由々しき事態です。

ユーザーに誤解を与えてしまう機能に加え、まったく関係ない第三者によるサブディレクトリ寄生サイトへの対処がGoogleに求められます。

まとめ・終わりに

今回、Googleがモバイル検索結果でサイト名を表示する機能を2022年10月14日に正式リリースしたこと、それによってサブディレクトリ寄生サイトの信頼性を高める皮肉な結果になっていることを紹介しました。

サイト名を表示することでユーザーが検索結果でサイト名を識別できるため、よい面もあります。

しかし、現状野放しになっているサイト貸しのサブディレクトリ寄生サイトだと、本体ドメインのサイト名が表示され、逆に信頼性が高まる結果になっています。

その結果、今回の検索結果のサイト名表示の恩恵を最も受けたのがサブディレクトリ寄生サイトになっている状態です。

けれども、多くのユーザーもいつかドメイン貸しの存在に気づきます。

その時本体ドメインを運営しているサイトの信頼性を毀損することは確実に起こります。

それゆえ、関係ない第三者にドメイン貸しをしている場合は見直しをおすすめします。

さらに、モバイル検索結果のサイト名表示はサブディレクトリ運営サイトでは問題がはらんでいます。

もちろん、悪いのはサブディレクトリの仕組みを悪用しているSEO事業者ですが、このままではGoogle検索結果の信頼性が揺らいでしまいかねないです。

サブディレクトリを寄生するサイト運営側だけでなく、Google側にも何らかの対処・対応されることが望まれます。